ことしの輸入牛内臓肉需給を振り返る、年明け下値は限定的か




 ことしは5月以降、コロナウイルスの感染症法上の定義が5類に移行したことで、内食、外食の需要動向は大きく変化、輸入内臓の需給も少なからず影響を受ける形となった。また、為替レートが近年にない円安に振れたことから輸入物は内臓、精肉ともに高騰し、国産との相対的な価格優位性は低下。現地価格の高止まりなどもあり、輸入内臓の中でも主要な焼き材アイテムであるアウトサイドスカートやハンギングテンダーは高値圏で推移した。
 上半期を振り返ると、5類移行直後は外食需要が急激に盛り上がったことで、需要に対して供給量が足りない状況が続いた。GW後もインバウンドの復活や、アフターコロナに向けた経済活動が活発化したことで、相場は下がることなく強もちあいで推移。とくにアウトサイドスカートは現地需要が旺盛だったこともあり、品薄感が高まり、チョイスは4千円前後で推移。食肉小売店では輸入物のハラミが、和牛モモやロースなどの商品と遜色ない価格帯で販売されているケースも多くみられ、「高級部位」に位置付けられつつあった。高騰が続いたアウトサイドスカートの代替品としてハンギングテンダーの相場も上昇。こちらもチョイスで2,200〜2,400円と異例の高値圏で推移した。そのほか、外食需要の急回復によって、タンの相場も上昇。小売、外食、食品製造現場で慢性化する人手不足もあって、主に焼き肉店向けとなるムキタンは4千円台後半で取引される状況となった。
 ただ、需要期である旧盆商戦は、外食需要はおおむね堅調に推移したが、記録的な猛暑の影響でBBQ需要などが低迷。「暑過ぎる」状況は需要を減退させるようで、内食向けの荷動きは想定を下回ったところも多かったようだ。とくに高値推移し、値頃感の薄いタンやアウトサイドスカートは「価格が上がり過ぎている」という声も多くきかれ、旧盆商戦後は卸・外食店の補充買いも限定的に。一時的に需給が緩んだことで全体的に動きは鈍くなり、10月までは散発的な投げ物もみられる状況となった。ただ、為替レートが円安基調で進んだことや米国の生産頭数が減少する中、中期的には相場は上がっていくだろうという見通しのもと、11月以降は徐々に相場は反転。強含みの気配となっている。一方、白物については、猛暑の影響で量販店向けなどからの引き合いは時期が大きくずれ込んだ。ただ、食品・食肉全般が高騰する中、相対的な値頃感は高まっており、買い求めやすい価格帯で販売できる商材として、加工向けなどの引き合いは底堅い。そのほか、ここ数年、現地工場の人員不足から極端な品薄が指摘されていたメンブレンなどの商材については、ことしはおおむね安定供給できる見通しが立ったようだ。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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