鶏肉マーケット展望—生鮮モモで800円も、最需要期前にコスト増




 木枯らしの便りを前に国産鶏肉は生鮮モモがキロあたり700円を超えている。生鮮ムネも380円前後で推移。昨年の同時期と比較してモモでおおよそ100円、ムネで50円高い勘定になる。
 暑さからの増体不良が報じられていた国産鶏肉だが、10〜11月にかけては生産も回復している。ただ、9月に上陸した台風で、鶏舎や工場などへの直接的な被害もあったようだ。同時にコロナ感染などでの人手不足に台風による出勤困難が加わり、生産・加工に支障もみられたが、いずれも10月には解消したときく。最需要期の12月に向け、マーケットの動きを展望したい。現在の相場高の原因は大きく二つある。一つはコスト高だ。飼料高については政府が予備費からの支出を決めたが、高いのは飼料だけではない。輸送のガソリン、鶏舎のボイラーの燃料、資材、電気代、すべて上昇している。物価高に困っているのは現場で働いている人、その家族も同様で、その分、賃金のアップがあれば望ましい。つまりは、コスト高は進むことはあっても、短いスパンでの解消はまずない。
 もう一つは、競合する輸入物の高騰だ。代替需要が高まった国産冷凍物の相場高が、生鮮の高値の背景となっていた。鶏肉輸出国でもあったウクライナへの侵攻に、タイでの新型コロナの流行が加わり、世界同時鶏肉不足といえる状態だったが、ブラジル産、タイ産とも軟調に転じている。とはいうものの、1ドル150円という記録的な円安に相殺され、輸入鶏肉の相場が下がらない。現地オファーでは安い先物も出ているとはきくが、目にみえて相場を押し下げるとは考えられない。むしろ、外食・加工各社とも「輸入物に戻すか、国産冷凍ムネのままいくか悩ましい」というのが実際のところ。要は〝混乱中〟ということだ。正月は雑煮用途などでムネの需要期でもある。冷凍物の高止まりも背景に、国産生鮮ムネの高値も年内は続くだろう。まっとうな価格転嫁ということで考えれば、最需要期の年の瀬に生鮮モモで800円、ムネで380円という相場もあり得るのではないか

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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