豚肉マーケット—輸入Fの需要増加、解凍スライス品仕向け




 全国旅行支援や入国制限緩和によるインバウンド需要の増加により、観光地や繁華街には人の波が戻っており、外食業態からの引き合いは回復基調にある。ただ、ここへきて全国的にコロナ感染者数が増加傾向にあり、年末の需要期に〝第8波〟に見舞われる懸念が日に日に高まっている。豚枝肉相場は、10月はこの時期としては異例の700円超えもみられたものの、全国的には出荷頭数が徐々に増加基調となってきたことなどもあり、10月中旬以降は軟調な展開で推移した。
 しかし、引き続き為替の円安傾向や現地価格高騰、さらに入船遅れなど、チルドポークを中心に輸入物の供給不安が残る中、鍋物需要の本格化などもあって、国産物への引き合いは底堅いものがある。また、豚熱やPEDなど、疾病の影響もあり、とくに関東近郊の産地では、出荷頭数が想定を下回っているともいわれる。11月に入って、枝肉相場は再び緩やかな上昇曲線を描いており、前週は、上物価格が600円を超える日もみられた。
 今後、年末需要などで国産相場は再び上昇基調となることが予想されるが、円安や供給不安などがある中でも、輸入チルドポークにはそれなりに安定した引き合いが続いている。11月下旬以降は、年末に向けた手当ても本格化が予想され、ロースやスペアリブといったアイテムにも引き合いがみられそうだ。一方、例年は気温の高い時期には需要の落ちるバラだが、輸入ポークの状況もあり、ことしは通年で高値が継続している。量販店などでは、国産豚肉、輸入チルドポークの高値を受け、フローズンポークの解凍品で売り場を構成するケースが増加。とくに価格訴求力のあるスペイン産のベリーなどを中心に解凍スライス品の提案が増加している。在庫水準は高いものの、今後もスペイン産をはじめ、フローズンポークの輸入量は底堅く推移していきそうだ。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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