量販店の精肉部門は年明け以降、やや落ち着いたとはいえ、全体的にみれば好調に推移している。とくに2度目の緊急事態宣言が発令されてからは、該当エリアを中心に業務用需要が一気に冷え込んだたため、需要は再び内食に大きく偏っている。この傾向は解除後もしばらく続くものとみられ、新年度からの商品政策も、昨年大きく伸びたカテゴリーの販売に注力する量販店が多い。弊社では現在、「月刊ミート・ジャーナル」4月号で掲載する「全国主要量販店の精肉MD」の取材を進めているところだが、事前のきき取りを含めても「ウィズコロナ」を意識した商品群の品ぞろえが主流となりそうだ。
昨年の傾向としては、節約志向の高まりを受け、切り落としや小間切れ、ミンチといった頻度品の売れ行きが良かったことがあげられる。その一方、外食を控えている分、家庭でおいしいものを食べたいという欲求の高まりを受け、和牛の焼き肉セットなどの高単価商材が好調な売れ行きを示した企業も多い。また、調理機会の増加から頻度品だけでなく、ブロックタイプの商品もよく売れている。オーブンなど家庭で使用される調理機器が飛躍的に性能を高めており、一つの機器で数十種類の料理をつくることができる製品を有する家庭も増えた。家庭用電化製品でいえば、冷蔵庫の性能向上も大きい。買い物頻度を抑制するため、まとめ買いをする消費者も多くなったが、購入した商品を小分けにし、冷凍保存するという消費行動はいまや珍しくはない。「精肉はチルドで」という店舗側の思いと「冷凍でもおいしく食べられる」という消費者の考え方のギャップが強く感じられた1年でもあった。これを受け、店舗側も大きく変化。店舗規模にもよるが、冷凍商品の売り場を拡大したり、新設店舗には平台だけでなくリーチインタイプの冷凍ケースを設置し、精肉部門と冷凍食品部門が連携して売り場の充実を図る動きが広がった(続きは食肉速報に掲載)
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