総務省が公表している2021年1〜12月の家計調査報告(2人以上世帯=1世帯あたり・品目別)によると、肉類支出金額の年計は前年比2.3%減の9万6,776円となった。そのうち生鮮肉は2.1%減の7万8,229円で、加工肉は3.0%減の1万8,547円といずれも減少しているが、これは前年が大きく増加したことの反動であり、コロナウイルスの影響による消費傾向の変動が、前年に引き続き結果に反映されている。前年のピーク時ほどではないが、内食需要はいまだ堅調に推移している。
肉類計の月別では1〜2月が前年超えとなったものの、3月以降はほとんどの月で前年を下回る数字で推移した。最初の緊急事態宣言中だった20年4〜5月に比べておよそ10%減に転じるなど、減少幅が大きい月もある。その一方で、前々年の19年に対してはすべての月で支出金額が高くなっており、コロナ対策が最近でも消費行動に響いていることがうかがえる。
生鮮肉を畜種別にみると、牛肉の支出金額は2.0%減の2万3,210円となった。肉類計と同様に3月以降は減少した月が多く、12月だけはコロナ流行前の19年と比較しても金額が落ちている。ロイン系をはじめとした高級部位を売りにくい状況が21年も継続した。
豚肉は2.9%減の3万1,892円、鶏肉は2.1%減の1万6,915円。前年は1回目の緊急事態宣言下にあった4〜5月に比べて、秋ごろは伸び方がやや緩やかだったため、コロナの影響が依然続いている21年9〜11月ごろは、支出金額・消費量ともにむしろ少々増加に転じる場合が多かった。ただし、年間を通じて肉類計と似たような推移を続けており、消費の傾向が劇的に変化した前年のように極端ではないものの、例年の水準よりは高い。コロナの影響が根強いことには変わりないといえるだろう。なお、合いびき肉も豚・鶏と同じような傾向にあったが、他の生鮮肉は前年の伸びが最も顕著だった3〜5月ごろを除き、多くの月で前年を上回った。
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