年間通して高値水準、4月は一気に600円超え—豚価を振り返る




 2020年の豚価は、新型コロナウイルスの発生により前年からはまったく予期できない推移となった。
 世界的にコロナの影響が強まった3月以降は、外出自粛などによって内食需要が爆発的に増加。日常使いの豚肉への引き合いは強まり、国産、輸入チルドともに年間を通じて堅調な荷動きとなった。東京食肉市場の相場(「上」、税込み)を振り返ると、1月は前年と同水準の452円の静かな幕開け。続く2月は434円と下落した。しかし、国内でもコロナの影響が強まってきた3月は482円と上昇。そして緊急事態宣言が発令された4月は611円と一気に600円を超える高値を記録。前年同月(538円)も大きく上回った。5月に入ると、強い内食需要に加え、コロナの世界的な拡大もあり、北米などの食肉加工場で稼働停止や減産などが相次いだことによる輸入豚肉の供給遅れによってさらに相場は上昇し、630円を記録。6月は全国的に出荷頭数が減少傾向となり、月平均で624円と5月からはやや下落したが、高値傾向は継続した。
 1〜6月の平均値では539円と、前年上期の524円から15円高。ゴールデンウイーク明けから出荷頭数が減少傾向となったこと、コロナの状況下で外出自粛ムードが高まり、量販店などを中心に内食需要が強いまま推移していること、さらに輸入豚肉の供給不安や価格高騰などもあり、5月には一時的に700円を超えるなど、相場は予想を上回る高値で推移した。7月は出荷頭数が年間で最も少なくなる時期でもあり、641円とさらに上昇。8月も634円の高値となった。9月は徐々に出荷頭数が回復傾向となったこともあって下落したものの、621円と引き続き600円台をキープした。その後、10月、11月は1日あたりの出荷頭数が7万頭を超える日が増え、相場は大きく下落したものの、それぞれ536円、530円と、この時期としては高値が続いた。12月に入ってやや一服感が出ており、相場も一時的に400円台となっているが、年間を通じて500円を大きく上回る高値相場で推移した。輸入物については、コロナの影響によって北米などで工場停止等が相次いだほか、秋以降にはドイツでのASF発生や船便の遅れなどが出たこともあり、一時的に混乱がみられた。また、国内ではCSFに加え、鳥インフルエンザなどの疾病も発生している。このため今後、豚肉の需給に影響が出る可能性もある。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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