牛肉マーケット展望、内食需要で和牛の売れ筋は3〜4等級に




 緊急事態宣言が10都道府県で3月7日まで延長されることが決定した。感染者数は減少に向かっているものの、菅政権はこれまで、コロナ対策で後手に回っていると評価されていることもあって、着実に感染者数を減らしたい意向だ。食肉専門店や量販店など小売店の勢いもやや弱まっており、食肉卸売業者にとっては非常に厳しい状態にある。2月はそもそも閑散期ということもあり、少なくとも2月中は厳しい需給状況が続く見込みだ。内食中心の消費となり、牛肉の引き合いはブリスケ、チマキなどの切り落とし材、ミンチ材が中心となり、ヒレ、ロースなどの高級部位については売りづらい状況が続きそうだ。国内生産者も出荷抑制する傾向を強めており、出回り頭数は多くないものの、とくに和牛の格付5等級が弱く、3〜4等級については小売需要を受けて、5等級との価格が近接している。今後もこの傾向は続くと思われる。
 輸入ビーフについては、豪州産チルドはバラ系部位が小売店の切り落とし商材の好調などを受けて引き合いが強まっているが、全体としては低調。仕入れ面では現地の子牛価格高騰、長雨による集荷不安などから、先行き不透明感が強まっている。米国産チルドはショートプレート、チャックアイロールなどのメイン商材の引き合いが強い。ショートプレートはとくに強く、荷不足感からフローズンへのシフトもみられる。一方でウデなどの部位は荷余り感も。2月下旬〜3月上旬にはセーフガードが発動するとの見方もあり、今後の供給を懸念する声もきかれる。豪州産・米国産フローズンの各社の在庫は、週替わりでタイトであったり潤沢であったりとまばらな状況であるが、新型コロナウイルスによる変則的な需給に伴い、あまり在庫を抱えたくないという方針の企業もある。外食がメインの販路となるフローズンは厳しい状況。2月に入り、米国産のSG発動や豪州産の先行き不透明感など仕入れの困難、緊急事態宣言が延長され現状として荷動きは停滞気味ながら市中在庫はタイトであること、今後の需要は緩やかに上向く予想であることなど複数の理由から、月末に向かっては相場が上昇していくものと思われる。また同時に、緊急事態宣言解除後に需要が回復した際の供給に不安の声もある。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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