(株)米沢食肉公社は2日、米沢牛150周年「記念セリ市場」を開催。記念市場では、米沢牛を全国的に広めたチャールズ・ヘンリー・ダラス氏にちなみ、「C.H.ダラス賞」を設けたほか、「MUFA」「小ザシ指数」に基づく表彰も行われ、「C.H.ダラス賞」の最高賞には米澤佐藤畜産の枝肉が輝き、キロ当たり1万811円(税込み)という最高値で取引された。
米沢牛の起源は明治8年に英国人教師チャールズ・ヘンリー・ダラス氏が任期を終えて横浜へ帰る際、1頭の牛を持ち帰り、居留地で仲間に振る舞ったところそのおいしさが評判となったことにさかのぼるといわれている。今回の記念市場は、それから150周年の節目を迎えるに当たり、米沢牛の存在感を内外に発信し、取引の活性化と消費拡大を目的として実施したもの。
記念市場の前日には、米沢牛生産者、購買者他、関係者らを多数招き、記念市場前夜祭を実施し、記念講演ならびに祝賀会が開かれた。冒頭、米沢食肉公社の佐藤康寛社長は、「全国的に和牛の価格は伸び悩んでおり、米沢牛についても非常に厳しい状況で推移している。そのような中、品質、脂質、モモ抜けの良い小ザシの米沢牛については、(キロ当たり)3千円を超える価格で取引いただいている。おいしさを追求する米沢牛として、さらなる品質の向上、そして、そのおいしさをより一層国内外にアピールしていかなくてはいけないと強く思っている」とあいさつを行った。
講演会では、(1)MUFAによる牛枝肉評価公表への取り組み」(2霜降り“繊細さ”が味を変える〜小ザシの画像解析による客観的評価〜をテーマに、山形県農林水産部畜産振興課の星光雄課長補佐、国立大学法人帯広畜産大学食料研究部門の口田圭吾教授による講演がそれぞれ行われた。
その後、祝賀会では、米沢銘柄推進協議会会長の近藤洋介市長らが祝辞を述べ、乾杯のあいさつをJA山形おきたまの若林英毅代表理事組合長が行った。県南家畜商組合の佐藤秀彌理事長(米澤佐藤畜産 代表取締役会長)が鏡開きの音頭を取り、佐藤理事長の「おいしい米沢牛をつくるよう頑張るぞ」の掛け声に合わせ、生産者も「頑張るぞ」と意気盛んに返した(写真)
記念市場当日、競り前のセレモニー冒頭、米沢食肉公社の佐藤社長が「これからの50年、200周年を目指し、しっかりとした米沢牛を作っていく」と意欲を示し、近藤市長による手締めで競りが開始された。
上場頭数75頭、参加購買者24社による競りが行われ、佐藤社長と購買者代表4人の計5人が審査員を務め、自らがダラス氏になった気持ちで「仲間に振る舞うならこの牛」と考える枝肉を1頭ずつ選出するダラス賞が設けられた。
さらに、その中で最も高単価で落札された枝肉を「150周年記念C.H.ダラス賞最高賞」とし、最高賞に米沢市の米澤佐藤畜産の枝肉(枝肉重量450kg、格付等級A5、BMS No.12)が輝き、キロ当たり1万811円で米澤佐藤畜産が落札。単価が1万円を超える取引は極めてまれであることから、記念市場にふさわしい結果となった。このほか、米沢食肉公社では初の試みとして、「MUFA」や「小ザシ指数」に基づく表彰も行われた。なお、今回の出品牛全体のMUFA平均値は63・7、小ザシ指数平均値は106・8となった。
入賞牛は次の通り(キロ単価、購買者)(続きは食肉速報に掲載)
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