日本ハムが培養肉研究に関する発表会見を実施(1)




 日本ハムは4日、東京都品川区の東京支社で培養肉研究に関する発表会見を行った。会見には同社中央研究所の岩間清所長、瀬川亮研究員らが出席した。冒頭、岩間所長があいさつするとともに中央研究所について説明した。概要は次のとおり。
 当社の研究施設は茨城県に3カ所あり、その中でも中央研究所は5年先を見据えた基礎研究を行っている。またそのほかにも、応用研究として商品開発に近い研究にも取り組んでいる。当社では持続可能性ある社会に貢献し続ける企業であるために、五つのマテリアリティー((1)タンパク質の安定調達・供給(2)食の多様化と健康への対応(3)持続可能な地球環境への貢献(4)食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄(5)従業員の成長と多様性の尊重)に取り組んでおり、今回発表する培養肉研究もこの一環として取り組んでいる。
 続いて瀬川研究員(写真)が培養肉研究の概要について次のとおり説明した。
 近年、食に対するさまざまな社会課題が顕在化してきている。その一つが人口増加であり、2050年には世界人口が100億人近くまで拡大するといわれている。これに伴い、30年以降は食糧・タンパク質が不足する可能性が指摘されている。また、人口増加、気候変動や森林伐採などに起因する水不足や地球温暖化などが社会問題となっており、その原因の一つに畜産もあげられている。以上の背景から、将来的に供給不足が懸念される食肉についても、持続可能な新タンパク質源で補完することが求められている。
 海外の統計データによると、40年には食肉の供給の60%が代替肉に置き換わり、その中の30%は培養肉が占めると予測されている。植物性タンパク質が今後もシェアを伸ばすとみられる一方、培養肉は品質やコストに関する技術課題が解決して量産化が実現されれば、30年ごろからシェアを獲得すると予測されている。当社としては以前からの家畜や食肉をベースとした事業を展開していくが、増加する需要をすべて畜産で賄うことはむずかしいと予想されるため、不足分を補う新しい食を提供していきたいと考えている。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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