スターゼンが郡山営業センターに水素トラック導入、食肉業界初

 スターゼンは21日、福島県郡山市の郡山営業センターにおいて、食肉業界で初めての導入となる水素トラックの出発式を開催した。今回の取り組みは、福島県とCommercial Japan Partnership Technologies(株)が推進する「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」の一環で実施するプロジェクトに、スターゼンが参加する形で実現したもの。
 導入されたのは小型の水素トラック(燃料電池トラック)1台で、全長6700mm、全幅2200mm、積載量2950kg、水素搭載量10・5kg。主に郡山市内の配送業務に使用し、1日当たり約80kmの走行を予定している。水素と酸素の化学反応によって発電し、走行時にCO2を排出しないことから、地域物流における環境負荷の低減が期待される。静粛性と力強い加速性能を兼ね備え、長い航続距離(260km)を実現。燃料となる水素を充填する水素ステーションは現在県内に5カ所あり、そのうち2カ所が郡山市内にある。車両には、温室効果ガス削減の取り組みを周知するスターゼンオリジナルの環境マークある「エコスタ」を掲示。地域の人たちに向けて、同社の環境への取り組みを親しみやすく伝えることを目指す。今後の車両交代や新たな導入などについては運用状況や効果、インフラの整備状況等も踏まえて検討を進めていく。
 出発式では、営業本部北海道東北統括部長の豊巻正人理事、営業本部北海道東北統括部郡山営業センターの高橋大三郎センター長、経営本部経営企画部副部長・サステナビリティ推進室の脇坂努室長がテープカットを行い、同センターの社員らが水素トラックの出発を見送った。
 豊巻理事は「このプロジェクトは福島県とトヨタ自動車が推進する地球における水素利活用の社会実装に応用し、当社が掲げる脱炭素社会の実現に向けた一歩として進めてきた。当社の事業において、全国の食卓へ安全でおいしい食肉製品を届けるために物流は欠かせない。一方で輸送時のCO2排出は地球温暖化対策において避けては通れない課題だ。水素トラックの導入は環境不可を大幅に軽減しながらも、安定した輸送を実現するための大きな挑戦となる。また、この福島の地で取り組みを始められたことは大きな意味がある。震災復興と地域産業の活性化、そして新たなエネルギー社会の実現に向け、私たちが一翼を担えることを誇りに思う。この1台は小さな一歩かもしれないが、ここから得られる知見や経験を全社に広げ、将来的には車両の拡充や他の環境技術への対応を進め、業界全体へ普及させていくことを目指す。環境と安全、そして地域社会への貢献を両立する先陣を切る存在として私たちは歩み続けていく」とあいさつ。
 高橋センター長は「当センターをはじめ、本宮工場や青木食品など、当社の社員や家族、そして県内の取引先さまが暮らす福島の地において、水素を活用した新たな未来まちづくりに参画できることを誇りに思う。このような取り組みを継続し、地域のお客さま、そして環境に貢献していくためには、現場の社員一人ひとりが協力体制を取っていかなければならない。これまで以上に安全意識を強く持ち、慎重かつ丁寧な運行を心がけていき、環境に優しい輸送を目指したい」と決意を述べた。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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