和牛肥育26カ月に短縮でも肉質差ない、温室効果ガス1割超削減




 独立行政法人家畜改良センターはこのほど、黒毛和種の肥育期間短縮に関する調査研究を行い、結果をまとめた。一般的な29カ月齢程度の肥育期間の牛肉と比べ、肥育期間が短いと「キメ・締りなどの肉質が劣る」といわれ、市場における評価は低くなる傾向にある。このため、肥育期間を26カ月齢に短縮した場合の牛肉との比較試験を実施したもの。調査の結果、肥育期間を短縮(29カ月→26カ月)しても枝肉重量に有意な差はなく、肉質面でも枝肉格付は「A4」で「キメ・締まり」に差はなく、食味においても変わりがない結果を得ることができた。さらに、近年、畜産分野でも地球温暖化対策をはじめとした持続的な畜産物生産に向けた取り組みの重要性が高まる中、肥育期間の短縮(29カ月→26カ月)により牛から発生する温室効果ガス(CH4、N2O)排出量だけで1割以上削減する結果が得られた。
 枝肉格付の成績については、表のとおり。26カ月区、29カ月区の各試験区ともに平均「A4」となった。肉質等級をみても大きな差はなく、これまで肥育期間が短い牛肉で良くないとされていた「キメ・締まり」についても、両試験区で有意な差はみられなかった。また、各試験区のロース肉について、同センターが取り組む分析型官能評価パネルによる牛肉食味の評価を実施。軟らかさ、多汁性、うまみ、脂っぽい香り、甘い香り、肉ようの香り、和牛らしい風味といった各項目においても、両試験区に有意な差はなかった。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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